H-32 Borosilicate Glass

日本で唯一、H-32ホウケイ酸ガラス
古河工場の窯で溶かしています。

HARIOは1921年より、理化学用ガラスを自社で製造してきました。 素材を溶かす窯から成形までを国内で一貫して手がけているからこそ、 品質と供給を私たちの責任でお約束できます。

「32」は熱膨張係数を表します。
H-32は線膨張係数が32×10⁻⁷/℃と小さく、加熱や急冷による伸び縮みがわずか。 だから急激な温度変化に強く、実験器具の素材として卓越しています。

耐熱温度差

120

線膨張係数

32×10⁻⁷/℃

アルカリ溶出量

0.075mL/g

規格

JIS R 3503 準拠

物性・規格

H-32は JIS R 3503「ほうけい酸ガラス-1」に準拠する素材です。 理化学用途に求められる熱的安定性と化学的耐久性を、規格に沿ったかたちで満たしています。

種別H-32 ホウケイ酸ガラス/JIS R 3503「ほうけい酸ガラス-1」 準拠
耐熱温度差120
線膨張係数32 ×10⁻⁷ /℃(30〜330℃)
比熱0.20 cal/g・deg(20〜100℃)
熱伝導度0.0026 cal/cm・sec・deg(常温)
比重2.23 g/cm³
アルカリ溶出量0.075 mL/g(JIS R 3503-2007 準拠)
環境対応RoHS 評価済
成形型成形/ハンドブロー(手吹き)成形

工学的特性(温度点)

軟化点
820℃
徐冷点
560℃
転移点
530℃
歪点
520℃
作業点
1240℃

組成(酸化物換算)

SiO₂二酸化ケイ素
81%
B₂O₃酸化ホウ素
13%
Na₂O酸化ナトリウム
4%
Al₂O₃酸化アルミニウム
2%

※ 数値はH-32ホウケイ酸ガラスの代表値です(理化カタログ物性表による)。
※ 線膨張係数 32×10⁻⁷/℃ は、1mのガラスが100℃上昇すると約0.32mm伸びることを意味します。
※ アルカリ溶出量は、空試験結果を差し引いた試料1gあたりの 0.005mol/L 硫酸の消費mL数。
※ 製品の使用可能温度は形状・肉厚・使用条件により異なります。詳細はお問い合わせください。

人体にも、化学分析にも適した素材

H-32は100%天然の鉱物を精製したホウケイ酸ガラスです。 製造工程で発生する泡を除く「泡きり剤」にも100%天然塩を用い、 一般に使われる亜ヒ酸やアンチモンといった有害な重金属を一切使用していません。

H-32ホウケイ酸ガラスの原料である珪砂・硼砂・硼酸の3種の鉱物
H-32の原料。左から珪砂(けいしゃ)・硼砂(ほうしゃ)・硼酸(ほうさん)。いずれも100%天然の鉱物を精製したものです。

有害重金属フリー。 素材由来の溶出が少なく(アルカリ溶出量 0.075mL/g)、 分析結果に器具由来のノイズを持ち込みません。加工する人にも、分析する人にも安心な素材です。

この国産素材をすぐ見分けていただけるよう、HARIOは HARIO Glass® という商標を取得しています。 HARIO Glass®は、国内工場で生産されている天然素材を用いたHARIOのガラスの証です。
HARIO Glass®資料(PDF)を見る →

なぜ「32」が効くのか

ガラスの耐熱性は、温度そのものではなく耐熱温度差で示されます。 実験器具は、加熱直後に洗浄で急冷されるような温度変化に、繰り返し耐える必要があります。 H-32が耐えられる温度差は120℃です。

熱膨張係数が大きいガラスは、温まると大きく伸び、冷えると大きく縮みます。 この伸び縮みの差が内部にひずみを生み、破損の原因になります。 H-32は膨張係数が小さいぶん、温度が急に変わっても寸法変化が小さく、ひずみが生じにくい。 これが急冷急熱に強い理由です。

H-32の膨張は、一般的なソーダ石灰ガラスのおよそ3分の1。同じ温度変化でも寸法の動きが小さく抑えられます。

研究の現場で効くこと

素材の特性は、そのまま実験の使い勝手と結果の信頼性に直結します。

溶出が少ない

アルカリ溶出量0.075mL/g。器具からの成分溶出が少なく、分析結果に素材由来のノイズを持ち込みません。

加熱できる

耐熱温度差120℃。急冷急熱に強く、前処理から加熱を伴う操作までひとつの器具で扱えます。

無色透明

内容液の色や反応の様子が見やすく、目視での判断がしやすい素材です。

国内一貫の供給体制

HARIOは、H-32ホウケイ酸ガラスの窯を国内に持つ日本で唯一のメーカーです。 茨城・古河工場(ISO9001・ISO14001認定)の窯で素材そのものを溶かし、成形までを国内で完結させています。 だからこそ品質を自社の目で管理し、安定した供給を続けられます。

国産の窯

古河工場にH-32の窯を有し、素材の溶融から自社で行っています。

一貫生産

溶融から成形まで、工程を国内で完結させています。

安定供給

創業1921年から続く製造の蓄積が、供給の継続性を支えています。

煙突の無いクリーンな工場。 H-32は直接通電式ガラス溶融炉で溶かしており、ガラスの均質性に優れています。 電極への通電で原料やカレットを溶かすため排気ガスが出ず、煙突の無いクリーンな工場を実現しています。

直接通電式ガラス溶融炉の構造図。メルター・フィーダー・スパウトと電極の位置関係
直接通電式ガラス溶融炉の構造。メルターで溶かしたガラスをフィーダーからスパウトへ送り、成形工程へ流します。燃料を燃やさず電極への通電で溶かすため、排気ガスが出ません。
煙突のないハリオ古河工場の屋根を俯瞰した写真
古河工場。屋根の上に煙突がない。
桜の咲く季節の古河工場の外観
茨城県古河市。ISO 9001・ISO 14001 認定工場です。

動画で見る工場見学

加工でかたちを変えられる素材

H-32は急加熱・急冷によく耐えるため、加工時の破損による不良が少なく、加工が容易で経済的です。 作業点1240℃はガスバーナーでの高温加工に適した温度で、 穴あけや取っ手付けといった二次加工、標準品にない形状への仕上げに対応します。 ハンドブロー(手吹き)成形も可能です。

多くの理化学ガラスメーカー様・加工会社様へガラス素材(ブランク)を供給し、 加工の協力体制を築いています。自社でできない加工も、豊富なネットワークで幅広いご要望にお応えします。 この自由度が、理化学器具にとどまらず、食品パッケージや工業用途など幅広い特注・OEMを支えています。

古河工場で職人がH-32ホウケイ酸ガラスを宙吹き成形している様子
ハンド成形。作業点1240℃という数値は、現場ではこの光景になります。

よくあるご質問

H-32の「32」とは何を指しますか?
線膨張係数の値(32×10⁻⁷/℃)を指します。この値が小さいほど加熱・急冷での伸び縮みが小さく、急激な温度変化に強くなります。H-32が耐えられる温度差は120℃です。
一般的なガラスと比べて何が違いますか?
窓や食器に使われるソーダ石灰ガラスに比べ、H-32の膨張はおよそ3分の1です。同じ温度変化でも寸法の動きが小さく、熱衝撃に強いのが理化学用途で選ばれる理由です。
化学分析に使ううえで安全な素材ですか?
亜ヒ酸やアンチモンといった有害な重金属を使用していません。アルカリ溶出量は0.075mL/gと少なく、器具由来の成分が分析結果に影響しにくい素材です。
どのような規格に準拠していますか?
JIS R 3503「ほうけい酸ガラス-1」に準拠しています。あわせてRoHSの評価も済んでいます。
標準品にない形状の相談はできますか?
承ります。二次加工やハンドブロー成形により、特注・OEMの形状に対応しています。図面がない段階のご相談も可能です。

素材から、かたちのご相談まで。

物性資料のダウンロード、標準品のカタログ請求、特注・OEMのご相談を承っています。 図面がない段階のご相談もお気軽にどうぞ。